先日、この週刊まちおこしでも何度か取り上げている熊本
県の黒川温泉に行ってきました。
黒川温泉は、わずか二十数軒の旅館が湯煙を上げる小さな温
泉地ですが、全国の数ある温泉地の中でもトップクラスの人
気を誇っています。温泉地としてだけでなく、まちおこしの
成功事例としてマスコミに登場することも度々です。
 黒川温泉のまちなみを散歩していると、驚かされるのはそ
の活発な共同活動です。「一軒の旅館で集客するのでは限界
がある、まち全体で集客できるようにならなければ」という
理念の元、有名な露天風呂強化や入湯手形をはじめ、看板の
統一などさまざまな取組みを見ることができます。
まちおこしに取り組んでいるどの地域でも、何をやったら良
いか?を情報として知ってはいても、地域が一体となった共
同活動がなかなかうまくいかないというのが共通の悩みです。
 では、黒川温泉はどうして共同活動が活発にできるように
なったのでしょうか。その要因としては、小さなまちだった
からまとまりやすかったこと、一旦トコトンまで低迷したこ
とで思い切った手を打ちやすくなったこと、一部に強い情熱
とリーダーシップを発揮する人がいたこと…などが指摘され
ています。
もちろんそれらは重要なことです。それらが幾重にも重なっ
て作用し、黒川温泉の今日の成功があることは間違いありま
せん。
 しかし、もしあえてひとつだけ成功要因をあげるとすれば、
私は「入湯手形のヒットによって、黒川温泉観光旅館協同組
合が儲けたこと」をあげなければならないと思います。
一枚あたり千二百円で三ヶ所の露天風呂に入れる入湯手形は、
現在年間約13万人以上が利用しており、その収益は組合と風
呂の利用があった旅館と、手形を販売した売店とで分ちあっ
ています。
結果として、黒川温泉観光旅館協同組合はかなり大きな年間
活動予算を持っています。この資金があるから、共同活動を
円滑に進めることができるのです。
 地域には様々な考え方、境遇の方々が関わっています。そ
のため、まちおこしといっても、なかなか意見がまとまらず、
スピーディーな実行はおろか、にらみ合いのまま何もできず
にいるところも少なくありません。
実際に何かを実行しようとすれば、いろいろな作業負担や金
銭負担が発生します。関係者の考え方や境遇がバラバラな状
態の場合、これが一番難しい問題です。そんな時、共同組織
である組合などが活動の予算を持っていて、地域全体のため
に使えるとなれば、かなり話は違います。
 何かをしようとする時、資金は重要な推進エネルギーであ
り潤滑油です。まちおこしという大義に取り組んでいても、
目先で儲けることが実はものすごく大切であるということは、
企業経営と全く同じなのです。(望月 義尚)
◆黒川温泉観光旅館協同組合オフィシャルサイト
 ⇒ http://www.kurokawaonsen.or.jp/index.htm